債権の消滅時効

時効制度の改正

時効制度は令和2年4月1日に施行された改正民法により制度の改正がありました。
この項目では、改正民法により変更になった項目および影響について解説します。

消滅時効とは

時効制度は、期間の経過を原因として権利の得喪を認める制度で、取得時効(民法162条)と消滅時効(民法166条)があります。
上記のうち消滅時効とは、一定期間の権利の不行使を原因として、債権消滅の効果を認めるものです。
時効は、当事者の意思表示によって時効の効果が生じるものであり、援用があるまでは時効の効果は生じません。
例えば、債務者が時効を知らない等、時効を積極的に主張しない場合、あるいは債務者が、自ら支払い義務のあることを認めた場合には、時効の利益を受けることは出来ません。

一般債権の時効期間

 
 

債権の消滅時効における原則的な時効期間が見直され、抜本的に改正がされました。
旧民法定められていた職業別に短期消滅時効(旧法第170条~第174条)、および商事債権の消滅時効(旧法商法第522条)5年は廃止され、改正民法で一般債権の原則的時効期間を次のように定められました(改正民法166条)。
①債権者が権利を行使することが出来る事を知った時から5年(主観的起算点)
②債権者が権利を行使することができる時から10年(客観的起算点)

不法行為の時効期間

改正民法では不法行為に基づく損害賠償請求権は、被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知ったときから3年(主観的起算点)または不法行為の時から20年(客観的起算点)の経過により消滅時効が完成します。

ただし、生命・身体の侵害による損害賠償請求権については、通常の不法行為による損害賠償請求とは分けられ主観的期間は3年ではなく5年とされています。

債権の消滅時効の援用

時効の援用は、時効により生ずる時効の効果を確定させる相手方のある単独行為です。
一般的には債権者に対して内容証明などで時効を援用する意思表示を伝えます。

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